不調のサインとは?職場におけるメンタルケアや症状について解説

不調のサインとは?職場におけるメンタルケアや症状について解説

職場での部下の体調不良や仕事ぶりの変化に気づいたとき、あなたはどうしますか?

いざ部下から仕事やプライベートに関しての悩みを相談されたときに、どうしたらいいか迷ってしまうことはないでしょうか。

今回の記事では、メンタル不調を訴える部下のサインや、相談された際の受け答え方について解説していきます。

メンタル不調とは 

メンタル不調とはどのような症状なのか?

・メンタル不調の症状

・メンタル不調の早期発見・対応が必要な理由

・メンタル不調に陥りやすい状態と改善

について解説します。

メンタル不調の症状

厚生労働省の「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」では、

”精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみ ならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の 健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むもの”

と定義されています。

「五月病」と症状が良く似ており、間違われやすいですが、五月病は時間と共に症状が改善していきます。

メンタル不調では、時間が経っても改善されることはなく、適切な処置や治療が必要となります。

以下がメンタル不調の主な症状です。 

  • 憂鬱な気持ちが続く
  • 焦燥感や不安感に駆られる
  • 夜眠れなくなった、寝てもすぐ目が覚めてしまう
  • 表情が乏しくなる
  • 遅刻や欠勤が増えた
  • 家事や仕事など、今まで当たり前にできていたことができなくなった
  • 仕事のミスが増える
  • 身だしなみに無頓着になる

メンタル不調の早期発見・対応が必要な理由 

比較的症状が軽いうちから専門的な治療を受けることで回復が早まることが多く、メンタル不調の早期発見や早期対応はそれだけ重要性が高いといえます。

メンタル不調が続くと本人の仕事能力や仕事の効率に悪影響を及ぼしてしまう可能性があるため注意が必要です。

重症化してしまうと仕事を続けられず、長期的な静養が必要となります。

休業は本人や家族、職場など大きく影響を与えてしまうので早期的な改善が必要といえます。

部下の不調を早く見つけて、仕事のストレスを解消できるようはたらきかけることで心の病気の発症を食い止めたり、専門治療の必要がないようにできる例があるのも事実なのので、上司として部下に日頃から関心を持ち、いつもの行動や人間関係などは知っておくことが重要です。

メンタル不調に陥りやすい状態と改善

 職場では次のような人がメンタル不調に陥りやすいと言われています。

  • 残業が多い
  • 多くの仕事を抱え込んでいる
  • 周囲に相談できる仲間が少ないもしくはいない
  • 仕事を熱心に取り組んでいるが、結果がでず認めてもらえない
  • 融通が利きにくい
  • 仕事で大きなミスをしてしまった
  • 仕事の内容や職場での役割が大きく変わった
  • 私生活にストレスを感じている
  • 私生活が大きく変わった

日常の業務から部下を観察し、労働時間や労働環境の調整を行いましょう。

必要に応じて相談を受けたり、メンタル不調が感じられたときには医療機関や心理カウンセリングへつなぐなどの適切な対応が行えるよう準備しておきましょう。

職場で見られるメンタル不調のサイン 

比較的職場でみられやすい変化

比較的職場で見られやすい変化には以下のようなサインがあります。

  • 表情がかたい
  • 遅刻が増える
  • 早退が多い
  • 寝不足が多い
  • 報連相が少ないあるいは極端に多い
  • 被害妄想がある
  • 食欲がない
  • 口数が少ない
  • 気分にムラがある
  • 落ち着きがない
  • 仕事のミスが増えたり、ミスを気にすることが多くなる
  • 残業時間が増える
  • 清潔感がみられない

このような変化がみられた場合には注意が必要です。

本人からの話・相談 

本人の口から以下のような話や相談があったときは、メンタル不調である可能性が高いです。もしあなたが部下から相談を受けた場合には医療機関への受診を勧め、専門の医師に治療や休養が必要かを判断してもらいましょう。

  • 何をしていても楽しくない。
  • 周囲から悪口を言われている気がする
  • 仕事の疲れがとれず、気力がない
  • 食欲がない、食べ過ぎてしまう
  • 寝るまでに時間がかかる、寝ても何度も目が覚めてしまう。
  • 死にたい

メンタル不調の部下に対する適切な対応方法 

メンタル不調の部下に対する適切な対応方法

健康状態をたずねる

上司として部下がメンタル不調に落ちいっていると気付くことはとても大切です。日頃から部下の仕事ぶりを観察していき、不調のサインに気づいた場合には睡眠状況や食欲など、まずはじめに一般的な健康状態を聞くなど情報を収集を行いましょう。あくまで「聴くこと」に専念してください。

上司として部下の悩みを解決しなければいけないと思うこともあるでしょうが、この場合は無理に悩みを解決しようとはせず傾聴し続けてください。

それでも本人の状態が心配であれば、素直にその気持ちを伝えましょう。また、自分に対応できないと感じた場合には、正直に自分だけではどうしたらうまく解決できるかわからないということを伝え、人事労務担当者や産業医に相談することの了承を得るよう努めましょう。

1人で悩まずに、みんなで問題を解決したいという姿勢を伝えることが重要です。

“ながら”をしない 

お酒を飲みながらの相談や、何かしらの作業をしながらの相談では、不用意にでた励まし言葉がかえって負担になってしまったり、真剣に話を聞いていない印象をもたれる場合もあるので、そういった環境で話を聞くのは避けた方が賢明でしょう。

周囲に話を聞かれないような部下の気持ちを配慮した場を設けて、話を聴くための環境を整えることも上司として配慮すべきことです。

「受け止める態度」で話を聴く

なるべく安心して話しだせる空気を作ることは重要です。また、受けた相談に対して否定的な態度を取ったり相談内容を疑うような行為はしてはいけません。

部下が話をしてくれるのは、あなたを信頼して心を開いている状態ですので、冷たくあしらうことはかえって症状が悪化してしまいます。

「打ち明けてくれてありがとう」「それほどつらい状況だったんだね。」というような受け止める態度で傾聴しましょう。

「頑張ろう」と励ます言葉を使わない

部下はこれ以上どう頑張って良いか分からず相談しているケースもあるため、「頑張ろう」という避けたほうがよいでしょう。本人にとっては負担となってしまう可能性があります。

他にも、「まあ、なんとかなるよ」などの根拠がなく、その場をしのぐためにとりあえず発したような言葉を部下に伝えてはいけません。部下は悩みを打ち明けたのに見放されたと感じてしまい、孤独感や絶望感によってさらにネガティブな気持ちになっていきます。

「どうしたらよくなるだろう」や「上司として何かできることはないか」など一緒に解決の糸口を模索する声掛けが大切です。

メールで連絡をとる

メンタル不調者にとっては電話でやり取りすることが負担になってしまうことがあるので、メールでの連絡が望ましいです。

また、メール相手も直属の上司だと仕事が頭をよぎってしまい、緊張感が漂ってしまうので、できるだけ人事労務担当者などが窓口になるのがベストです。

メールの文面も「いつ復職できるの?」など、本人を焦らせてしまうような内容は絶対に言わないようにしましょう。

「仕事は気にせずしっかり休んでほしい」「後はこっちでやっておくから気にしないで」など静養に集中できるような言葉が望ましいです。

部下のペースを大事にする

話をすべて聞かずに、部下の悩みを勝手に「こういうことだろう」と決めつけたり、早く話すよう急かしたりするのは良くありません。

問題に関してすぐに結論をつけてしまうことは控えるようにしてください。

「自分に何かできることはないか」というような協力的な態度で聴く姿勢が重要です。

「話したいと思った時でいいから教えてほしい」と部下のペースに合わせて対応できるような声かけを行うとよいでしょう。

病名を決めつけたりしない

安易にうつ病など病名を決めつけると「自分は病気なんだ」と思い込んでしまい落ち込ませてしまいます。

「体調が悪い時は一度病院でちゃんとみてもらうのはどうかな?」といったような部下の気持ちに寄り添うようなかたちでそれとなく提案をしてみると負担に感じにくいです。

産業保健スタッフに相談する

自分1人だけでは部下悩みに対応できないケースもあるかと思います。

対応できない場合には職場の産業医や保健師に頼ってみてもよいでしょう。    

部下・上司両者の相談を受けてくれたり、相談の受け方や、つなぐべき医療機関についての知識をもっているので心強いです。

もし会社の中に悩みを打ち明けられるスタッフがいない、相談窓口が設けられていない場合には、厚労省が提供しているはたらく人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』 など、外部のカウンセリングや医療機関に相談するのも一つの手です。

復職後のケアも大切にする

仕事を再開できるくらいまでに病状が回復していたとしても、以前と同じように働くことは難しい状態であることがほとんどであるため、同僚など周囲の人から業務上の配慮が必要になるケースが多くあります。

復職するにあたり、自分の病状を誰に、どこまで伝えるか、なぜ伝えるのか、などを本人と事前に話し合い、了解を得ておく必要があるでしょう。

【関連動画】企業ができる!多様化する価値観の従業員メンタルヘルス対策とは

メンタル不調を予防する方法 

厚生労働省の「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持推進のための指針~」では、3つの予防および4つのケアがメンタルヘルスケアの対策として示されています。

3つの予防 

  • 1次予防:未然防止・健康増進

ストレスを感じさせないような職場環境を築き、メンタル不調を未然に防ぐことが大切です。

1次予防の段階でストレスを根本から取り除くことが重要といえます。

  • 2次予防:早期発見と適切な対処

メンタル不調者が重症化しないよう、早期に発見し話を聞いたり、受診勧奨を行います。

  • 3次予防:治療と職場復帰・再発予防

休職後の復帰やメンタル不調の再発防止に努めます。事前に復職に関して取り決めをしたり、復職後のメンタルフォローを行います。

4つのケア

  • セルフケア

メンタル不調に対する正しい理解を得ることが重要です。

  • 組織での上から下の人間によるケア

上司による部下の労働環境の把握や問題点の改善、相談対応などがあります。

また、メンタル不調者の職場復帰を支援することが重要とされています。

  • 職場の産業保健スタッフ等によるケア

メンタル不調に関して具体的な案を提案したり、企業内のメンタル不調者に対する相談やサポートなどの支援があります。

  • 事業場外資源によるケア

社外の専門機関と連携し、助言を受けられるなどのサポートがあります。

社員のメンタル状態の可視化に役立つツール ラフールサーベイ

ラフールサーベイ」は、社員のメンタル状態を可視化することのできるツールです。従来の社内アンケートなどでは見えにくい心の状態などを可視化することで、社員が安心して働ける環境づくりのお手伝いをします。

社員が安心して働ける環境づくりは、企業の成長・拡大のための土台となります。まずは、社員一人一人にとって居心地の良い職場を整え、人材の定着と組織改善に繋げましょう。

ラフールネス指数による可視化

組織と個人の”健康度合い”から算出した独自のラフールネス指数を用いて、これまで数値として表せなかった企業の”健康度合い”を可視化できます。また、他社比較や時系列比較が可能であるため、全体における企業の位置や変化を把握することも可能。独自の指数によって”健康度合い”を見える化することで、効率良く目指すべき姿を捉えることができるでしょう。

直感的に課題がわかる分析結果

分析結果はグラフや数値で確認できます。データは部署や男女別に表示できるため、細分化された項目とのクロス分析も可能。一目でリスクを把握できることから、課題を特定する手間も省けるでしょう。

課題解決の一助となる自動対策リコメンド

分析結果はグラフや数値だけでなく、対策案としてフィードバックコメントが表示されます。良い点や悪い点を抽出した対策コメントは、見えてきた課題を特定する手助けになるでしょう。

144項目の質問項目で多角的に調査

従業員が答える質問項目は全部で144項目。厚生労働省が推奨する57項目に加え、独自に約87項目のアンケートを盛り込んでいます。独自の項目は18万人以上のメンタルヘルスデータをベースに専門家の知見を取り入れているため、多角的な調査結果を生み出します。そのため従来のストレスチェックでは見つけられなかったリスクや課題の抽出に寄与します。

関連記事:企業も個人も意識を変えるメンタルヘルス対策

まとめ

メンタル不調の症状やサイン、また対応方法や予防方法について説明をしました。

今回の記事のポイントは

  • ストレスを溜めないような職場環境づくりが重要
  • 部下のメンタル不調にいち早く気付けるよう日頃の仕事ぶりを観察しておく
  • 相談を受けるときは話に専念できるような場所で行う
  • 無理に解決策を探そうとせず、傾聴する
  • 「頑張ろう」「なんとかなる」など冷たくあしらうのは厳禁
  • 自分だけで対応できないケースでは産業保健スタッフなどを活用する

でした。

メンタル不調は誰にでも起こりうる可能性があります。1人で解決しようとせず社内外で連携しながらメンタル不調者をサポートすることにより、問題の早期解決が望めます。

相談を受ける際には「理解」や「共感」など相手の気持ちを思いやることが重要です。

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