離職防止の原因は?従業員の離職を防ぐためにできる取り組み

離職防止

従業員の離職原因は、さまざまです。故に、きっかけとなることをなくす対策が求められます。本記事で、想定される離職の原因と防止に有効な取り組みが分かります。辞める可能性のある従業員のサインも紹介しているので、早めに手を打てるようになるでしょう。

離職防止とは

従業員の離職を防ぐための施策です。「リテンション」「リテンションマネジメント」とも言います。 

  • 人口減少、少子高齢化などで、人材確保が難しくなっている 
  • 転職が珍しくなくなった 

上記は、離職防止が重視されるようになった主な理由です。 

人口減少も少子高齢化も進めば、人材不足の加速が予想されます。転職する人が増えたことで、新卒3年以内の離職も増えています。新しい人材確保と共に、今いる従業員の定着率を高めることも、企業の課題となるでしょう。 

離職にはさまざまな原因があるので、自社の従業員の抱える悩みを解決できる取り組みが、貴重な戦力の離職防止と言えます。

離職の原因は?

離職の原因

離職にはいくつもの原因が考えられますが、本記事では代表的な4つの原因を紹介します。

給与水準

給与が低い、ボーナスが少ないなどは、離職に多い理由の一つです。手取りの少なさは、生活の不安につながるためです。仕事にやりがいを感じていても、収入の少なさを理由に離職を考える人もいます。

労働時間

残業や休日出勤が多いなどは、離職を考えるきっかけになります。 

長時間労働は休まる時間が少なく、心身に悪影響を及ぼすリスクが高いです。故に、心身の不調による退職も考えられます。 

国は働き方改革で、労働基準法で定められた時間以上の労働時間に罰則付きの上限を設けるなど、長時間労働の対策を実施しています。法改正をきっかけに、働き方を見直す企業は多いかと思います。しかし、効果が出なければ「改善が見込めない」という理由で、離職する人もいるでしょう。

人間関係

人間関係も、離職に多い理由です。  

転職口コミサイト「転職理由」によると、平均年収に該当する方も高年収に該当する方も、転職理由で最も多いのは人間関係とのこと。特に、上司との関係がきっかけになる人が多そうです。  

「ノルマ・パワハラ」「上司からの評価」に悩む方が多いですが、同僚やお客様との関係に悩む方も少なくありません。  

人間関係への悩みは、給与の改定などよりはすぐに対処しやすいのではないでしょうか。対策しやすいにもかかわらず、何も対処してもらえないと、不信感が募り、退職を選ぶ従業員がいてもおかしくありません。

会社の将来への不安

今の会社にいても自分のやりたい仕事ができない、キャリアアップを望めないなどと感じることも、離職のきっかけになります。  

転職が珍しくなくなってきているとは言え、生活面の心配をせずに働けることは、多くの方が望むものです。故に、業績が上がらないなど経営に不安を感じるような会社だと、自分のスキルを活かせて、会社の発展と自身の成長を見込める企業に転職したいと思われるかもしれません。

離職を防止しないと発生するリスク

離職者が多いと、企業の発展に影響します。同時に、従業員への影響も免れません。

優秀な人材の流出

業務が滞る、会社の業績アップが難しくなるなどが懸念されます。  

スキルが高く、知識も経験も豊富な人材を必要とする企業は多いでしょう。優秀な人材が他社で働くことになったら、スキルやアイデアなども他社に流出することになり、自社には大きな痛手です。  

採用・育成にかけたコストが無駄になる、レベルの高い人材の採用や高いパフォーマンスを発揮できるまでの育成に時間もコストもかかるなども、デメリットです。

既存社員への負担増

従業員が会社を辞めたら、残された従業員が辞めた従業員の仕事を補わないとなりません。新たな人材を確保できても、新しい従業員が仕事に慣れるまで、教えたりしながらの業務になります。 

業務が増えたように感じる、自分の仕事が思うように進まないなどで、ストレスを感じる従業員が出てくるかもしれません。不満・ストレスなどで、既存の従業員まで辞めることが懸念されます。 

従業員が立て続けに辞めると、残った従業員のモチベーションが下がる可能性があります。従業員のモチベーション低下は、生産性やパフォーマンスの低下につながります。

企業イメージの低下

労働条件や職場の環境が良くない、従業員がやりがいを感じる仕事を任せていないなどの理由で、もっと働きやすい会社で働くために転職する人もいます。  

離職率は、転職サイトなどでチェックできます。故に、転職率が高ければ、問題を抱えていて、対処できない会社だと思われてしまいます。  

マイナスイメージのある会社への応募は避けられやすく、人材確保が難しくなります。従業員を大切にできない会社の商品・サービスは使いたくないという消費者も多く、業績への影響も懸念されます。

離職をする可能性がある従業員の特徴

従業員が離職を考えていることに早めに気付ければ、会社への不満が分かり、解決に向けて動けるでしょう。対策によって離職の食い止めを期待できます。

業務へのモチベーションが下がっている

業務を楽しいと感じたりやりがいを感じたりできず、仕事のパフォーマンスが落ちている状態です。 

ミスが増えた、生産性が低下している、新しい企画の提案といった仕事への積極性がなくなったなどが見られるようになります。

社内でのコミュニケーションが希薄化している

たとえば、MTGで意見することや雑談が減ったなどは、社内の人たちとの関係性の重要度が低くなっているかもしれません。 

ただし、いつも辛そうにしている、元気がなくなったなどは、心身に不調をきたしている可能性もあります。心身の不調を疑われたら、カウンセリングや医療機関の受診などの対処が求められます。

仕事を切り上げるタイミングが早い

離職したい理由に関係なく、転職活動している人は、残業を避ける傾向にあります。 

定時退社が増えたなどの他、きちんとした服装が増えた、新しいプロジェクトに入りたがらないなども、転職を考える人に見られます。

離職防止のためにできる企業としての対策

離職防止は、離職を考えるきっかけを解消できるものである必要があります。今回は8つの対策を紹介するので、会社の課題に合うものを取り入れてみてください。

退職者の声を聞く

自社の問題を知るのに、退職する人の声は参考になります。 

問題を正確に捉えるには、本音が必要です。そこで、ヒアリングは退職手続きが終わった後に行いましょう。手続き前だと「引き留められるのでは?」と思われ、本当の退職理由を教えてもらえないかもしれないためです。 

理由が分かったら、対策に活かしましょう。たとえば「人間関係が良くないと感じるから」というのは、社内コミュニケーションの問題が疑われます。雑談用のSNSやコミュニケーションツールの導入、他部署とも交流できるランチタイムの実施などで改善できるかもしれません。

長時間労働の削減

無駄な残業が発生しないようにすることが大切です。たとえば、勤怠管理システムで労働時間を意識する、メールのフォーマットの作成といった効率化できる仕組みをつくるなどです。 

労働基準法の改正で、1日8時間・週40時間を超えて働ける時間に上限が定められました。上限を超えると罰則が科されるので、残業を減らす意識・取り組みがいっそう重要になります。

評価制度の確立や給与水準の見直し

会社からの評価に納得できないと、会社に愛着を持てず、ずっと働きたいと思えません。故に、高く評価してくれる企業が見つかれば、転職する可能性が高まります。 

従業員が評価が低いと感じる理由として、給与が低いことが挙げられます。給与の不満は、モチベーションを下げる原因です。 

不満を持たれないためには、何を評価しているか、給与はどのように決まるかを従業員に共有することが大切です。評価基準が分かれば、数値に基づいているので納得されやすいでしょう。 

評価基準があいまいなら、仕組みづくりをおすすめします。たとえば、評価項目が分かりやすく、評価が給与と連動する人事評価ツールの導入などです。 

給与をすぐに上げるのは難しいかもしれません。しかし、どこを評価されて昇給やボーナスに反映されるか分かるだけでも、従業員のモチベーションアップを期待できます。 

個人の成績、業績アップまでの過程、同僚や部下との協力の姿勢なども評価しているかチェックしながら、基準や評価方法を見直してみましょう。

働く環境を柔軟にする

多様な働き方が可能だと、どの従業員にとっても働きやすい環境をつくれます。たとえば、テレワーク、時短勤務、フレックスタイム制などに対応していると、育児や介護をしながらでも仕事を続けやすくなります。 

テレワークは、通勤が不要になります。時短勤務やフレックスタイムは、仕事以外に使える時間を増やせます。 

通勤などに充てていた時間をスキルアップの時間に使えるようになり、従業員のパフォーマンスが上がることを期待できます。 

優秀な人材の離職を防げるのは、企業にも大きなメリットです。

福利厚生の充実

福利厚生には、社員食堂、レジャー施設の割引、資格取得のためのテキスト代や受講料の補助など、さまざまです。 

よって、従業員が求めているものを取り入れることがポイントです。たとえば、身体の不調に悩む従業員が多いなら、オフィス内にマッサージチェアやバランスの良い食事をとれる社員食堂を導入する、スポーツジムやリラクゼーションサロンの優待を利用できるようにするなどが良いでしょう。

マネジメント層のマネジメント力の向上

上司との関係に悩む方が多いというのは、上司に問題があるケースも少なくありません。そこで、マネジメント層がマネジメントに必要なスキルを高めると、会社のビジョンを理解し、部下と共有した上で育成できるようになると期待されます。 

部下は、会社の方向性・自分が任されている仕事の意味が分かり、モチベーションアップにつながるでしょう。 

メンバー一人ひとりが活躍できるチームづくりに必要なスキルを学べる「チームマネジメント研修」などを活用してみてください。マネジメント層を対象とした研修なら、部下との適切な接し方も学べて、ハラスメントの防止も期待できます。

研修制度を充実化させる

「今の会社では成長できないだろう」という理由での離職を減らすのにおすすめです。 

従業員のモチベーションが上がり、階層ごとの課題を解決できるものを導入しましょう。 

スキルアップ・キャリアアップのために身につけたいスキルは、階層で異なります。たとえば、新入社員や若手従業員なら、コミュニケーションスキルを高めたり、自分の得意・不得意を認識してPDCAを効率的に回せるのに必要なスキルを身につけられる研修のニーズがあるでしょう。 

入社から5年ほど経てば、リーダーに興味を持ったり素質のある従業員も出てくるので、リーダー育成を目的とした研修もおすすめです。

離職防止ツールの活用

離職防止ツールとは、従業員へのアンケート結果を踏まえ、モチベーションアップや会社への満足度が高まる取り組みをして、定着率を高めることを目指すツールです。従業員のモチベーションや満足度の測定、ストレスチェックなどができます。 

ラフールサーベイは、18万人以上のデータを基に、専門家の知見を取り入れたオリジナルの調査項目もあるので、1つのツールで従業員について多角的な分析が可能です。 

結果のフィードバックが自動で表示され、対策サービスも用意されているので、対策を考えてから実行するまでの負担が軽減されます。 

離職率を下げるため、従業員の理解を深めることと、離職防止に効果的な対策の立案・実施をサポートします。

まとめ

離職に至る原因はいくつか考えられますが、企業にダメージがあることは共通します。会社が抱える問題を洗い出し、適切な対処で離職防止しましょう。 

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