ウェルビーイング経営とは?メリットや取り組み方法、事例もご紹介

ウェルビーイング経営

近年注目を集めている「ウェルビーイング経営」。

心と体の健康だけではなく社会的にも満たされた状態=「ウェルビーイングな状態」であることは、若い世代を中心に働きやすさの新たな基準になりつつあります。

しかし、ウェルビーイング経営が重要であることはわかっていても、詳しい意味や企業にとってのメリット、具体的な取り組み方についてはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ウェルビーイング経営の概要やウェルビーイング経営が求められるようになった背景、取り入れるメリットや具体的な取り組み方法、成功事例などについてご紹介します。

ウェルビーイング経営とは?

ウェルビーイング経営の概要について解説します。

ウェルビーイングとは

世界保健機関(WHO)の健康の定義によれば、ウェルビーイングとは身体的、精神的、社会的な「良好な状態(Well-Being)」であることを示します。

現代では医学的に判断された病気、疫病ではなくても、本人が辛い、苦しいと悩んでいること、ウェルビーイングではない状態である人が数多く存在します。

ウェルビーイングには、「主観的ウェルビーイング」と「客観的ウェルビーイング」の2種類が存在します。

「主観的ウェルビーイング」は、「人生の充実度」や「個人の幸福度」を表し、主観的・感情的なもので、自己評価により測られるものです。

それに対し「客観的ウェルビーイング」は、心情的側面によるものではなく、「GDP(国内総生産)」や「健康寿命」など、客観的な数値基準により測られます。

これからの時代には「主観的ウェルビーイング」が重要と言われています。

個人の幸せのあり方はチームの幸せのあり方にも影響することがわかってきました。実際に欧州を中心に、国や企業では人々の幸福で豊かな人生に重点を置いたウェルビーイングに取り組む推進活動が実施されています。

注目されるウェルビーイング経営とは

ウェルビーイング経営とは、会社の従業員、消費者、ビジネスに携わる全ての人のウェルビーイングな状態を追求した企業経営スタイルを指します。

従業員が病気にならないだけではなく、仕事に対し目的意識とやりがいを感じながら仕事に取り組む状態を目指す経営です。

ウェルビーイング経営と健康経営の違い

ウェルビーイング経営と健康経営が混同されることがよくあります。

健康経営とは、従業員の健康増進を重視しており、従業員の健康が企業の生産性向上にも繋がり、従業員の心身の健康維持・管理は投資でもあるという考えです。

健康経営が身体的な健康面のみに重視しているのに対し、ウェルビーイング経営は従業員の精神的、社会的に充実している幸福な状態を目指していることが大きな違いとなります。

ウェルビーイング経営が求められている背景

近年、急速にウェルビーイング経営が求められるようになった背景は持続可能な開発目標(SDGs)への意識の高まりと、企業もSDGsに取り組むべきという考えが広がっていることが関与しています。

人材を確保し、働きやすい環境づくりをすることで離職率の低下も防げる他、採用サイトの口コミ評価も良くなり、新たな人材獲得も見込まれます。

従来の終身雇用制度もなくなり、人材の流動性も高まってきている中、また価値観の多様化、ダイバーシティの広がりにより、さまざまな価値観、バックグラウンドが集まった人材が集まって、個性が発揮できる環境づくりが企業の価値向上に繋がります。

新型コロナの流行から、従業員の出社も減り、テレワークが増えたことで従業員同士のコミュニケーションが減少しました。個人のデジタルツールとの関わり方がウェルビーイングに大きく影響していることから、「デジタルウェルビーイング」という単語も生まれ、企業全体としても取り組む課題としても注目されています。

ウェルビーイング経営に取り組むメリット

ウェルビーイング経営に取り組む具体的なメリットについて解説します。

従業員のワークエンゲージメント・モチベーションの向上

企業がウェルビーイングを実現するために、職場環境を改善することは、従業員のワークエンゲージメントやモチベーションの向上に繋がります。

従業員がやりがいを感じながら仕事に取り組むことは、企業全体のパフォーマンス、生産性を高めます。

離職率の低下・採用率の向上

働きやすい職場を作ることで離職率の低下、採用率の向上にも繋がります。

従業員が企業に愛着を持てるような職場づくりを提供すれば、社外からの印象も良くなり、自社への就職や転職を希望する優秀な人材を確保できるでしょう。

健康経営の促進による医療費削減

健康経営の促進により医療費の削減ができます。従業員の幸福度を重視した仕事環境を提供することで、医療費の削減に繋がるでしょう。健康であればそもそも病院に行くこともなく、受診費も削減できます。

生産性・企業価値の向上

企業の長期的な経営、企業価値向上のためにも、従業員個人のウェルビーイングは大きな要因となります。個人の生産性が向上することで、企業価値の向上も期待できます。

ウェルビーイング経営を実現するためのポイント

ウェルビーイング経営を実現するためのポイントについて解説します。

ウェルビーイング経営を実現するためのポイント

ウェルビーイングの向上に必要な5つの要素

ウェルビーイングの考え方に「PERMA理論」があります。

「PERMA理論」とはウェルビーイング向上に必要な要素をまとめたもので、心理学の博士、マーティン・セリグマンによって提唱されました。

「PERMA」は下記5つの要素の頭文字をとった言葉です。

・「P」はPositive emotion、ポジティブな感情。

・「E」はEngagement、仕事などに没頭すること。

・「R」はRelationship、良好な人間関係を築くこと。

・「M」はMeaning、人生に意味を見出すこと。

・「A」はAccomplishment、達成感。

この5つの領域において満たされると人は持続的な幸福を感じやすいと言われています。

「PERMA」を意識した取り組みを行うことで、従業員の幸福度を高めていけると言えます。

取り組みの成果を可視化することが重要

ウェルビーイングは成果が見えにくいため、取り組みを可視化する工夫が必要です。

ウェルビーイング経営への具体的な取り組み方法

ウェルビーイング経営の具体的な取り組み方法について解説します。

従業員のヘルスケアをサポートする

従業員自身が心身の健康状態を把握でき、改善できるようにサポートすることが大事です。

社内の健康診断や予防接種の実施をしたり、外部の検診の費用補助をすることも挙げられます。ストレスチェックや産業医との個別面談、オンライン相談を設けたり、従業員のメンタルヘルスケアのシステムを積極的に導入しましょう。

労働環境の改善

従業員が働きやすいと感じるためにも労働環境の改善をすることは大切です。過度な残業を減らしたり、有給休暇申請を行いやすい環境を整えることで、心の健康が保たれます。

オフィスのレイアウトを改善したり、フリーアドレスの導入などで、少しでも従業員のストレスを減らす工夫をすることがポイントです。

コミュニケーションの活性化をはかる

コミュニケーションが円滑になると仕事の進め方や人間関係の悩みが解消され、ウェルビーイングにつながります。気軽にストレスなく従業員同士が連絡を取れるよう、チャットツールやSNSを活用しましょう。リフレッシュスペースを設けて、コミュニケーションの場をあえて設けることで社風も良くなります。人間関係の悩みやストレスを減らすことで、従業員のパフォーマンスも向上するでしょう。

福利厚生の充実

ライフスタイルを豊かにさせるサポートを充実させることで、幸福度の高い環境づくりに繋がります。例えばジムやフィットネスクラブの割引、提携する宿泊施設やイベントの優待券も積極的に従業員に与えましょう。

サーベイの実施

従業員満足度調査などを実施することで、従業員が会社に何を求めているかを可視化することができます。従業員が会社に対して何を考えているかを明確に知ることで、今後何を改善していけばいいか、具体的な案が生まれるでしょう。

SaaSシステムの導入

労働環境をより良くするため、SaaSシステムを導入するのも一つの手段です。SaaSは業務効率化を実現するために、タスク管理やコミュニケーションをとりやすくしたサービスです。ストレスのないシステムを導入することで従業員の心の余裕が生まれます。

ウェルビーイング経営の取り組み事例

ウェルビーイング経営の取り組み事例をいくつか紹介します。

セルフケアの徹底に取り組む「味の素株式会社」

味の素は従業員の「セルフケア」で従業員の健康管理の取り組みを重視しています。定期的に面談も行い、徹底的に従業員の健康をサポートしています。

社員同士の繫がりを大切にする「楽天グループ株式会社」

楽天は「CWO(チーフウェルビーイングオフィサー)」というポストを設けています。ウェルビーイングに対して多面的で高い取り組みをしているのが特徴です。

現場に合わせた施策を実施する「株式会社デンソー」

デンソーは従業員一人一人に合った取り組みを大切にしています。「健康リーダー」が各部署にいて、現場に合った施策を取り入れています。

ウェルビーイング経営の実現に役立つツール

ウェルビーイング経営を実現していく上で、実際の取り組みには色々な項目があります。「ラフールサーベイ」は、ウェルビーイング経営を効率的に取り組むことができるツールです。例えば、ラフールネス指数によって組織情報を可視化し、ディープサーベイでは、144の質問項目で多角的に調査し、職場環境や仕事満足度を分析、把握できます。

ショートサーベイでは、19の質問項目に絞り、組織のメンタル、フィジカル、エンゲージメントの状態を定点チェックします。

適切な対策案を分析レポート化して、直感的で見やすいのも特徴です。

詳細なデータから課題を特定し、部署/男女/職種/テレワーク別に良い点や課題点を一望化し、改善策や対策を具体的に提案します。

まとめ

従業員、企業全体の健康をサポートする経営手法は、これからの時代、特に企業経営において欠かせない取り組みになっていくでしょう。

ウェルビーイング経営の意味やメリットを理解し、具体的に取り組むことで企業にとって大きなパフォーマンスと生産性の向上に繋がります。

管理する側もスムーズに導入できるよう、使いやすく効果に繋がるツールの検討もおすすめです。従業員と企業のウェルビーイングな状態を実現しましょう。

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